ドラクエ3から学ぶ、組織の成功循環モデル

はじめに

昨日、ドラクエ3のリメイク版が発売されましたね。
スライムとかは知っているんですが、実は”ドラクエ”をプレイしたことない人でして。
小学生の頃、バトル鉛筆なんかが男子たちの間でものすごく流行っていたんですけどね。
「あれは男の子がやるゲームだよ」と言われたりしたこともあり。
大人になって今ならドラクエデビューをしてもいいのかもしれないとは思っていたんですが正直なところどこから入っていいかわからず、二の足を踏んでいました。
それから時は過ぎて。
ちょうど先日、ドラクエがお好きな方と話す機会があり思い切って聞いてみました。
「もし今からドラクエをやるならどれから始めるのがおすすめでしょうか?」
そこでおすすめされたのが”ドラクエ3”でした。
ドラクエポータルというアプリがあり、そこからスマホでサクサクと出来るので育児中の私にはピッタリ。
こうして3週間前、”ドラクエ”デビューを果たしたのです。
いや、これ本当に面白いな。
べたかもしれないけれど、この一言に尽きます。
ただ面白いだけではなく、色々学びもあるんですよね。
今日はそんなドラクエ3から学ぶ、”組織の成功の循環モデル”について書かせて頂こうと思います。

組織の成功循環モデルとは


マサチューセッツ工科大学のダニエル・キム教授は、組織に成功をもたらす”成功の循環モデル”を提唱しています。
そしてその循環モデルにはグッドサイクル(Good Cycle)とバッドサイクルがあると言われています。
まずはバッドサイクルから見てみましょう。

成功循環モデル(バッドサイクル)


多くの組織ではどうしても”結果(業績)”だけを求め、”結果”の質を向上させようとしがちです。
結果が出ていればいいのですが、なかなか結果がでず、”結果”の質が低下すると仕事を押し付けたり、命令したり、あるいは対立したりと”関係”の質が低下してしまいます。まれに成果を出すこともあるかもしれませんが、あくまでも追いつめられてしまった状態で出した結果ですので持続はせず元に戻ることが多いです。
関係の質が低下すると、組織のメンバーは考えることを辞めてしまいます。
場合によってはこんなメンバーの中ではやっていけないと離れていく人もいるでしょう。
目の前にあることだけを淡々とさばくだけの受け身の体制となってしまい、積極的な行動をしなくなってしまいます。
そう、”行動”の質が低下してしまうのです。
”行動”の質が低下してしまった状態から生まれる”結果”はさらに質の悪いものに。
停滞している組織や、成果の上がらない組織ではこの”バッドサイクル”に陥っていることが多いです。

成功循環モデル(グッドサイクル)

ではグッドサイクルではどうなるのでしょうか?

先ほどのバッドサイクルとは違い、グッドサイクルでは”関係”の質を向上させることに焦点を当てています。
お互いを尊重し、理解し合う。
そんな環境にいると、自分で気づきを起こし、意欲的になり、面白いアイデアがたくさん沸いたり、建設的な議論が行われるようになります。
”思考”の質が向上するのです。
”思考”の質が向上すると、組織のメンバーは自分で考え、自発的に行動するようになります。”行動”の質の向上です。
そこから生まれる”結果”はかなり質の高いものが得られます。
質の高い”結果”を得られたことで、信頼関係は高まり”関係”の質がさらに高まることで、また最終的には質の高い”結果”を生み出すことが出来るのです。
”関係”の質ではなく、”結果”の質だけを追い求めると組織内での信頼関係を築くことはできず、やってもやっても成果が出ないもしくは最悪の事態を招く結果となってしまう状況になってしまいます。

ドラクエ3から学ぶ成功の循環モデル

さて、このグッドサイクルとバッドサイクルの話と”ドラクエ3”はどう関係があるのでしょうか。
*以下ネタバレ要素がありますので苦手な方はご注意ください。

ストーリーを進めていくうちに、不死鳥ラーミアを復活させるために必要なオーブの1つ、イエローオーブは”商人の街”を発展させなければ手に入りません。
とはいえこの”商人の街”は船でないと行くことが出来ず、一度訪れた町に飛ぶことが出来る呪文”ルーラ”を使うこともできない、とてつもなく不便な場所。
「町の発展のために商人を連れてきてほしい」
と頼まれるので、はじまりの街アリアハンに戻ってルイーダの酒場で仲間にして町へと連れて行く必要があります。
(余談ですが……、私の場合最初からある程度レベルを上げてから連れていけばよかったものの、レベル1で連れて行った私の商人はあえなく何度も殉職し、そのたびに教会に行きお金を払って蘇生してはまたやられるという悪循環を繰り返していました。いっそ棺桶のままでもいいだろうと1度運んだのですがやはりそれはノーカウントのようで(笑)装備を買い揃えた後で寂しい金銭事情と蘇生魔法を覚える前だったので、足元見やがってこの教会の神父めと思いながらプレイしておりました。)
そんなこんなでなんとか無事に商人を町にお届け。
「ここをしっかり発展させていきます!」と張り切る商人。
その言葉通り商人は頑張りました。
最初はぽつんと小さな家だけだった町は、2回目に訪れると道具屋がオープン。
3回目にはなんと宿屋がオープンし商人いわく、劇場も作る予定だと。
これだけ頑張ってくれると私も運び甲斐があったなと少し嬉しかったのですが、この次に訪れると何やら不穏な空気。
町はすごく発展したんです。
宣言していた劇場もオープンしていて、町の名前は商人の名前が付き、商人もなにやら自分の豪邸を立てている模様。
良心的プライスだった宿屋のまさかの大幅値上げに、少し驚きつつも住人に話を聞くと、ちらほらと聞かれるのが商人の不満の声。
そして最終的に、クーデーターを起こされてしまい牢屋に収監されてしまうのです。

あれだけ汗水垂らして連れてきた商人が……と少しショッキングでしたが町の発展という”結果”だけに焦点をあててしまったことで関係の質が低下し、最悪の事態となってしまったんでしょうね。
話しかけると
「こうなってしまったのは私にも要因があると思うので反省する」としょんぼりしていた商人。
どうやら聞くところによるとSFC版ではずっと牢獄に入ったままだそうで。
ちなみに今アプリでやっている分に関しては、バラモスを倒した後に様子を見に行ったら、
「また1から頑張ります!」とまた一緒に冒険にでることができるようになったのですが。
リメイク版ではどうなるんでしょう。
少し楽しみです。